前回に引き続き、私の交渉術を少しだけお知らせします。
箇条書きにすると以下のような感じ・・・
・手の内は最初から見せないこと。
・相手の主張を十分に引き出す。さもないとそれを上回る論を展開できない。
・相手に主張する前に、相手の反応は予め十分シミュレーションしておくこと。
・考えられる相手の反応のパターン全てに対する再反論の準備をしておくこと。
・証拠の提示を先に全部しない。(後で出した方が有利になる場面が相当ある)
まず、一番大事なのは、手の内を最初に見せないことです。
不埒な業者との戦いにおいて、私は一番最初に以下を伝えました。
・解約の手数料は高いんじゃないの?金額の内訳は?契約時にそんな合意あったっけ?
この時点では法令違反であること主張していません。勘の良い相手ならば、この「契約時にそんな合意あったっけ?」と言われた時点で警戒すると思うのですが、相手は、それに気づかず、こちらが何も知らないと思って素人が単に一般論で不満と言っていると思っていたはずです。
以前、別の記事で言ったと思うのですが、自分のことを馬鹿だを思わせるんですよ。そうすることで相手の心理的ハードルを下げて、上から目線で話しやすい環境を作るのです。それは私が常日頃やっていることです。この姿勢は争いごとにおいてとても有効です。
私は、わざとそうしました。相手に油断させるためです。案の定、舐めた回答してきました。それは以下です。

この文では重要な情報が含まれています。それは、こちらの「契約時にそんな合意あったっけ?」という趣旨の質問に対して「契約書の約款にはドメイン移管手数料の記載はなく」と自白していることです。失礼な言い方かもしれませんが、この担当者は相当馬鹿だなって思いました。
ホームページ上などのご利用約款を捏造して当初から記載していましたって、嘘つかれる可能性を危惧していたのですが、自ら言ってしまったのです。もう、この情報によって相手は逃げることができなくなりました。
契約時に約束してもいない費用を、後になって払わなければドメイン移転ができないと主張してドメインを移管させないのは、ドメイン所有者に対する権利侵害であることが確定ですからね。私はこの情報を得て初めて権利侵害だと反論できたわけです。もし、この情報を得る前に、私が権利侵害と主張したら、それこそ相手から、「当初から約款に定めてあった」などと事実と異なる反論をされる可能性があり、そうなれば証拠の提示を求めたり、色々と面倒なことになっていたことでしょう。そう考えると、手の内は全部見せない方がいいのです。
また、このときドメインだけでなく、契約時の合意なくデータの引き渡しも相手業者の都合の良い金額を払わないとやらないと言う相手の主張は、コンテンツ使用権を侵害する事になることは明らかでしたが、私は敢えてドメイン名の所有者に対する権利侵害であるという主張だけをすることにしました。
こちらの主張を全部出すと、相手にこちらの考えていることを把握され、のちに、こちらが反論しにくいように防御してくる可能性があるため、主張の全てを一気に出すのは得策じゃないのです。
つづく